梅毒の治療
20代の男性から梅毒の治療について相談がありましたので報告いたします。
【相談内容】
私は20代後半の男性です。
現在、梅毒治療中ですが、いつからセックスできますか?
梅毒は、一生反応が消えないと聞いてますが、
治療の終了(完治)は、どのタイミングで判定されますか? 具体的に知りたいです。
あと、彼女とのセックスはいつから可能になるのでしょうか? 具体的に知りたいです。
お願い致します。
①梅毒の分類
【回答】
貴方がどのような治療をされたか分かりませんが、基本的には2016年11月に
発行された日本性感染症学会の梅毒の治療ガイドラインに則った治療(駆梅療法)
をすれば、約4週間で他人に対する感染力はなくなります。
ですから、4週間後からは普通の日常生活ができるようになります。
また、性的交渉(セックス)も可能となります。
②日本性感染症学会 梅毒治療ガイドライン2016
③アモキシシリン製剤 サワシリン
ただし、駆梅療法は合成ペニシリン製剤であるアモキシリン製剤
(サワシリン、パセトシンなど)250mg、1回2錠、朝昼晩3回(1日量
1500mg)の服用を4~8週間継続することです。
④梅毒血清反応 定性検査の結果の解釈
血液検査でRPRとTp抗原検査をされていると思いますが、
治療効果を見る経過観察はRPRで行ってもらいましょう。
大切なことですが、梅毒の治療の目的は、原因微生物である梅毒スピロヘータを
死滅させることであり、血液検査(Tp抗原)の抗体価を下げることではありません。
⑤日本性感染症学会 診断・治療ガイドライン2016
先ほども申しあげましたが、2016年11月1日に修正された、日本性感染症学会の
「梅毒 治療ガイドライン」に則った治療を行えば、心配ありません。
一方、Tp抗原検査は治療効果をみるには適さないとされています。
数値が期待通り下がらなくても、ガイドラインに則った基本的な駆梅療法を行えば
心配ありません。
⑥梅毒治療:臨床医の「落とし穴」
先ほども申し上げましたが、最後に、我々臨床医に言いたいことですが、
❝梅毒の治療の目的❞で一番大事なことは、梅毒の病原微生物である
Treponema pallidumを死滅させることであって、梅毒血清反応の
検査成績(Tp抗体価)を陰性化させることではないということです。
これは、我々、臨床医の「落とし穴」ともいえます。
臨床医は心しておかなければなりません。
お大事になさってください。
2016年12月29日
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