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尖圭コンジローマの再発

30代の女性から「尖圭コンジローマの再発」について相談がありましたので報告いたします。
 

①尖圭コンジローマ
毛包はHPVの感染標的や潜伏部位の可能性がある

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【相談内容】
 
34歳の女性。未婚。

去年の10月にお風呂でブツブツがある事に気付き婦人科で治療を
 
続けていますが5ヶ月経った今もいろんな場所に再発を繰り返しています。
 
ベセルナクリーム、液体窒素治療、外科的切除・・・
 
いろんな方法で治療していますが一箇所良くなりかけると違う場所にまた
 
出来ているのを見つけ精神的に疲れ果ててきました。

免疫力を上げる方法を実践したり漢方も飲み続けたり出来る努力は
 
しているつもりですが結果がついてこず悲観的になるばかりです。

『 コンジローマは再発との戦い』と言われていますが
 
1年近く再発し続ける事はあるのでしょうか?

私は今34歳、未婚な事もあり治療が長引く事にとても焦っています。

よろしくご指導お願いします。


 
②参考症例:女性の尖圭コンジローマ
    (大陰唇・小陰唇・腟前庭など)
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③尖圭コンジローマの治療戦略
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【回答】
貴女は30代の女性。未婚。
 
2016年10月に風呂で外陰部にブツブツがある事に気付き某婦人科を受診し、
 
治療を受けている。
 
 尖圭コンジローマの治療を始めて5ヶ月間経つが、いろんな場所に再発を繰り返している。

治療はベセルナクリーム外用療法、外科的治療として液体窒素、外科的切除などを行った。
 
一箇所良くなりかけると違う箇所にまた再発し、再発を繰り返すため、精神的にストレスが溜まっている。
 
自分で、免疫力を上げる方法を実践、漢方薬も継続服用している。
 
好転しないためQOLが低下し、悲観的になっている状態である。
 
以上、貴女の経過・状態をまとめてみました。
 
つづく。
 
 

 ④尖圭コンジローマの治療 外科的療法
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【回答】つづき
 
貴女もご存知のように『尖圭コンジローマの治療は再発との戦いである』と
 
私はよく言っています。貴女のように長期間、再発が続く場合があります。
 
でも貴女の努力で、良くなる時期が必ずくると考えます。
 
学術的根拠はありませんが、私は尖圭コンジローマにも寿命があると考えているからです。
 
自然治癒も約20%あるとも言われています。
 
また良くなったかどうかの治癒判定は大変、難しい問題です。
 
それは再発率が高いからです。
 

 

⑤尖圭コンジローマの治療 薬物療法
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⑥ベセルナクリーム外用療法
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⑦イミキモド塗布と外科的治療の共同作戦
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【回答】つづき
 
目安としてはコンジローマの消失後、最低3カ月は再発がないことを確認することです。
 
とりあえず、このタイミングで治癒と判定いたしますが、6カ月後、1年後に再発しないとは言えません。
 
治療法として凍結療法、レーザー蒸散、電気焼灼、外科的切除、イミキモドクリームなどがありますが
 
コンジローマの絶対的治療法はなく、どんな治療を行っても、3カ月後の再発率は15~30%あります。
 
このように尖圭コンジローマの最大の問題は再発です。
 
考え方は色々ありますが、ある程度治療してみて効果がなければ、
 
貴女が今まで行ってきたように、一つの治療法にこだわらず、
 
他の治療に変更することも考慮すべきだと思います。
 
ただその治療法の説明を受け、その特徴を理解し、
 
貴女が納得して治療に望むことをお勧めいたします。
 

 

⑧外用療法と外科的治療の共同作戦
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⑨患者のQOLの低下
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【回答】つづき
 
貴女は現在、治療が長くなり将来に不安を抱えています。
 
また再発しないのか、いつまで治療するのか、結婚できるのか、子供を作れるのか、
 
子宮頸癌ならないのか、等々・・・・・貴女の悩みは深く、“生活の質”が低下しています。
 

 

⑩HPV感染による最大の対策は
ワクチンによる感染予防

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⑪日本でも4価ワクチン
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⑫治療法のまとめ
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【回答】つづき
 
貴女にはこれからの人生があります。
 
婦人科の主治医とよく相談され、治療を継続されてください。
 
早く治癒することをお祈り申し上げます。
 
お大事になさってください。




2017年02月21日

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