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梅毒血液検査「偽陽性か既感染の判断 」
30代後半の男性から梅毒の血液検査の判断について相談がありましたので報告いたします。
①クリストファー・コロンブス1492年新大陸発見
【相談内容】
30代後半の男性です。
お世話になります。
梅毒の検査で偽陽性か既感染の判断について教えてください。
梅毒の血液検査前の感染症検査でRPR陰性、TPHA陽性(80倍)と
いう結果を得ました。
皮疹や初期硬結を疑う梅毒の症状はありませんでした。
性風俗は年に数回、性交渉は数回程度です。
この血液検査の結果から、通常だと既感染ということになりますが、
私の成績は抗体価も低く、TPHAも稀に偽陽性があると言われていますが、
これを判別する方法はありますでしょうか。
ちなみに二ヶ月後に再検査して同じ結果を得ました。
またFTA-ABSは(2+)でした。
サワシリンは溶連菌感染で10日間内服したことはあります。
また、この数年間、特に自覚症状はありませんが、それでも感染していることはよくあるのでしょうか?
なお、FTA-ABSは(2+)という結果は偽陽性ではなく既感染を意味するのでしょうか?
②梅毒 Syphilis 名称の由来
③梅毒血清反応
【回答】
貴男の血液検査の結果から推察するに、数年前の既感染ということで、
すでに感染力はほとんどなく
一般日常生活、性的行動を行なっても
先ずは問題はないと考えられます。
しかし、FTA-ABSは(2+)ということは、偽陽性ではなく既感染を意味します。
貴男の場合、症状がない無症候梅毒で感染時期が不明ですが、検査成績でRPR陰性、
TPHA
陽性(80倍)で
FTA-ABS(2+)
ですから既感染と判断いたします。
ただ、感染力があるか無いないかというと、はっきりとは分かりません。
④梅毒血清反応
貴方が梅毒の治療をしたことがない(未治療)のであれば
サワシリン1日量、1500mg(250mg,6cap)を28日間、服用され、
安心されたら如何ですか。
なお、この治療は日本性感染症学会 治療ガイドラインの標準的な治療です。
その後は、定期的に検査されて経過観察されてください。
お大事になさってください。
⑤梅毒血清反応 定性検査の結果の解釈
さて、ここで、梅毒の血液検査についてお話しておきます。
梅毒血清反応には、カルジオリピン(リン脂質)を抗原とする脂質抗原試験と、
TP(Treponema pallidium)を抗原とするTP抗原試験があります。
脂質抗原試験には、STS法と呼ばれる緒方法、凝集法、ガラス板法、などがありますが
現在実施されていません。
RPRカード法(倍数希釈法)は用手操作で行い、結果判定は目視で行うために客観性に
乏しいという問題があり、代わりにRPR自動化法は自動分析器で自動測定が可能な
新しい検査方法であり普及しつつあります。
TP抗原試験には、TPHA法、FTA-ABS法があります。
脂質抗原試験(STS法)では、生物学的偽陽性(BFP)の出現することがあり、
その頻度は陽性の10~20%といわれています。
⑥梅毒の治療
このBFPを除外するために、TP抗原試験が開発され広く用いられています。
FTA-ABS法は患者血清を非トレポネーマの吸収液で吸収することにより特異性を
高めた方法で、鋭敏性、特異性ともに優れた検査法として認められています。
なお、特異性が極めて高いので、梅毒の診断には有用ですが、
治療効果の判定などには不適当とされています。
その理由として、一度抗体価がある程度以上に上昇してしまうと、
治療が行われても抗体価の低下が安易にはみられずに、
また半永久的に陽性を持続するからです。
⑦桜咲く!
一般的には、STS法のうちの二法をまず実施します。
その結果、一法もしくは二法とも陽性の場合はTPHA法で確認します。
TPHA法が陰性の場合はFTA-ABS法で最終確認をします。
多くの検査室ではSTS法と同時にTPHA法を実施しています。
初感染の場合は、TPに感染してから約1週間程でTPに対するIgM抗体が生産されて、
その後にIgG抗体が生産されます。
陽性になる順序は、STS法とFTA-ABS法がほぼ同時で、
TPHA法が最も遅くに陽性になります。
また、STS法が陽性で、TPHA法が陰性のときは、感染初期が考えられ、
3~4週間後に再度検査を実施し、
感染初期またはBFPかの判定をする必要があります。
⑧梅毒は相手が増えればリスクも増える!
2017年04月06日
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