パートナーと一緒に検査
6月22日(木) 讀賣新聞 医療ルネサンス 「性感染症のいま」
5回シリーズの5回目に私の記事が掲載されましたので報告いたします。
■パートナーと一緒に検査
Q&A
性感染症の特徴や治療について、
東京都新宿区のプライベートケアクリニック東京名誉院長の尾上泰彦さんに聞いた。
-性感染症の中でも梅毒の患者が増えてきています。
「最近まで男性の同性カップルが中心でした。
昨年1,000人以下で推移していましたが、
2011年頃から増え始め、15年には異性カップルの感染者数が
同性カップルの数を追い越し、昨年は4,500人を超えました。
20歳代前半の女性が多いです」
-梅毒の特徴を教えてください。
「口腔性交でも移ります。感染3週間で菌の侵入部位に
潰瘍などができ、3か月で体にバラ疹と呼ばれる発疹などが出ます。
時期がずれたり症状が出なかったりすることも多く、
症状が出ても数週間で消えます。
数年で神経が侵され、失明や知能低下などを招きます。
また、梅毒に感染した妊婦から生まれた先天性梅毒の子供も最近は報告が増えています。
死産や流産となったり、肝臓や脾臓が腫れて生まれたりします」
-治療法と増加の背景を教えてください。
「戦後は多くの感染者がいましたが、以前は抗菌薬のペニシリン注射で治療でき、
減っていきました。しかし、アレルギーによるショックで死者が出てから、飲み薬の抗菌薬に変わり、今は一定期間飲んでもらいます。
症状が消えると薬をやめてしまう人がいることが問題です」
「増加の背景ははっきりしません。
中国といった外国でも流行しているので、性風俗店などを介して入ってきた可能性もあります。
スマートフォンの普及で、誰とでも簡単につながれることも原因かもしれません。
梅毒に詳しくない医師が症状を見落とし、感染を拡大させてしまっていることも課題となっています」
-梅毒以外に注意すべき性感染症はありますか。
「感染者数が一番多いのがクラミジアで、口腔性交でも感染します。
特に女性は性器に症状が出にくく、気付かず進行して不妊症の原因となることもあります。また淋菌も不妊症に結びつく感染症の一つ。抗菌薬に耐性を持つ菌が出ていて、
効く薬が少なくなっているのが喫緊の課題です。
性器ヘルペスやB型・C型肝炎など、日本性感染症学会の指針には
17種類の性感染症が記載されています」
-性感染症の予防はどうしたらいいですか。
「不特定多数との性行為は避けましょう。
また、全ての感染症を防げるさけではありませんが、
コンドームを正しく使用することは基本です」
「そして、定期的に検査を受けましょう。
私がみてきた中では、感染者の3割はパートナーも感染していました。
結婚する時や新しいパートナーができた時など、
一緒に検査を受けることをおすすめします」
【参考】性感染症の予防
2017年06月29日
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