泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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『アソコにできたイボイボは尖圭コンジローマ!?』『腟前庭乳頭腫症でした』

先日、24歳の独身女性が診療所を訪ねてきました。


「先生、アソコに何か小さなぶつぶつができてます。
痛くもかゆくもないんですけど、心配でネットで調べてみたんです。
これって、尖圭コンジローマじゃないでしょうか?
セックスをする相手は半年前から付き合っている特定の彼だけなので、
彼からうつされたんだと思います。
これってレーザーで取れるんですよね・・・。」
と、大変心配そうな様子です。



さっそく診察をしてみました。
患部を見ますと、左右の小陰唇の内側に、
たくさんの径1~2ミリ大の乳頭状のイボがきれいに並んでいます。
イボの色は肌色でした。


実はこのイボは尖圭コンジローマではありません。
経験のある婦人科医が診れば直ぐに分ります。
これは、腟前庭乳頭腫症
(vestibular papillomatosis、hairy nymphae )と言います。
腟前庭や小陰唇内側に左右対称に多発するイボで、
一般的には常色から褐色を呈し、大きさは径1~2ミリ、
長さ1~10ミリ程度で絨毛状に隆起します。
実際には形や色に個人差があり、様々です。
特に痛みや痒みなどの自覚症状はないので、
なかなか気がつかない方もいらっしゃいます。


このイボの悩みは若い女性にとってはめずらしくはなく、
むしろ、臨床現場では 尖圭コンジロームより多くみられます。
どうしてこのような症状が出るのかは明らかになっていませんが、
組織学的には、真皮内の血管の増生と繊維化からなると考えられます。
生理的変化であって、セックスとは無関係。
もちろん感染性ではないですし、治療の必要もありません。
日本女性の20~30%に認められるとされています。


生理的な変化なので、治療は不要ですが、
患者さんが摘除を強く希望する場合 には電気メス焼灼術、
炭酸ガスレーザー蒸散術を行うこともあります。
しかし、基本的には治療は勧めておりません。


今回の事例のように、若い女性は一度でもセックスすると、
それまであまり見なかった自分の性器を見るようになる傾向があります。
そして小結節を見つけるとインターネットで勉強し、
尖圭コンジローマではないかと心配して来院するパターンが少なくありません。
専門の医師でない場合には尖圭コンジローマと誤診され、
過剰な治療をされるケースもありますので、受診される際には、
ぜひ専門医の扉をたたいてださいね。


では、ごきげんよう!


2009年01月29日

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