泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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陰茎硬化性リンパ管炎って!性感染症なの?

今回は『陰茎硬化性リンパ管炎』について勉強しましょう。


えっ?はじめて聞いた病名ですか?
正式には非性病性陰茎硬化性リンパ管炎(non-vevereal sclerosing lymphangitis of the penis、Mondor病)というものです。


先日、私のクリニックに29歳の男性がやってきました。
「先生!ペニスにコリコリしたオデキができた。心配で・・・」
という彼に話を聞いてみると、2週間ほど前からペニスの冠状溝の下
にコリコリしたオデキが急にできた。
痛くも痒くもないが、飛び出ていて気持ちが悪いとのこと。
風俗には行ってないし、何年も彼女はいないが、マスターベーションは
週に2~3回位しているということでした。



早速、診察してみるとペニスの冠状溝の下のほぼ半周に渡って、
環状に索状の結節(しこり)がみられます。
触れると、患者さんが言うとおりコリコリしています。
コリコリしている索状物は幅は約3~5mmの管状をしており、
表面はきれい、赤くなったりもしていません。
また、押さえても痛くないといいます。
管状のしこりは周囲との癒着はなく、可動性でありました。
しかも冠状溝の中央で索状のシコリが陰茎根部に向かって
陰茎体部の中央部付近まで屈曲しながら走行しています。

さて、これは何という病気でしょうか?
これが今回のタイトルにもなっている、「陰茎硬化性リンパ管炎」です。
20~40歳の男性に多く、性感染症とは関係ありません。
多くは、陰茎冠状溝の包皮の内板を環状にとりまく皮下の索状硬結(しこり)です。


少し難しくなりますが、性交による機械的刺激のためリンパのうっ滞、凝固、
器質化などが生じ、陰茎リンパ管に閉塞性、増殖性の索状結節(しこり)が
発生したものと考えられています。
すなわち、過度あるいは長時間のセックスやマスターベーションが
原因になることがあると言われていますが、はっきりとした原因は判っていません。
大体2週~4週でコリコリしたリンパ管は再開通し、自然消失することが多いようです。
自然治癒することが多いので、放置してもかまいません。


リンパ管の切開ないし穿刺は一時的な効果はありますが、
また直ぐに腫脹してきますから、無意味な処置となります。
自然治癒しないようでしたら、専門医を訪ね、定期的(2~4週間毎)に
診察を受ける経過観察をお勧めいたします。
場合によっては、または再発時には手術(リンパ管切除など)が必要になるかもしれません。
診断は、専門医が診れば目視で容易です。


最近、インターネットで勉強し、性感染症ではないかと心配して来院する方がみられます。
ご心配のある方はひとりで悩まず、まずは専門医をたずねてください。


それではごきげんよう!




2009年02月08日

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