泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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(2)自覚がないから恐い、淋菌性咽頭炎!

前回、風俗店を利用したことで淋菌感染となってしまった男性の例をご紹介しましたが、
今回は淋菌性咽頭炎についてもう少し詳しくご紹介しましょう。


日本男性の性感染症で最も多い病気はクラミジア性尿道炎、次いで淋菌性尿道炎です。
その淋菌性尿道炎の発症要因には、オーラルセックスが大きく影響しています。
最近では性行為の際、オーラルセックス(フェラチオ・クンニリングス)を行うことが、
ごくあたりまえの行為となっており、日常化しています。
また日本では女性性風俗従事者の咽頭における淋菌の感染率が高く、
これが淋菌感染症の原因となっています。


淋菌性尿道炎は激しい尿道症状がでることが特徴で、
それに比べて淋菌性咽頭炎は咽頭の自覚症状・他覚的所見が認められないことが特徴です。
すなわち淋菌性尿道炎を認めれば、そのパートナーの口腔咽頭に無症候のままに
淋菌が存在している可能性が高く、見過ごせばそれが新たな感染源となってしまいます。


次に検査・診断について少しお勉強してみましょう。
淋菌の咽頭検査法には分離培養同定と遺伝子診断法があります。

【分離培養同定法】
淋菌は発育に炭酸ガスを必要とし、極めて死滅しやすい細菌です。
温度変化、乾燥などに弱く、一般細菌と同じ培養方法では検出できません。
淋菌の培養同定には、咽頭を拭った綿棒を直ちに淋菌選択培地である
変法Thayer-Martin 寒天培地に塗抹後、速やかに密閉し、炭酸ガス発生装置により
炭酸ガス充填下に室温で保存、その後35℃で48時間炭酸ガス培養を行えば
98%以上の感度で淋菌を検出できます。


【遺伝子診断法】
遺伝子増幅法は検出感度が高く、口腔咽頭の淋菌を検出するのに大変有用です。
ただしPCR法は口腔内に常在する他のNeisseria属との交差反応(間違った反応)があるため用いません。また遺伝子診断法には、分離培養法と異なり薬剤感受性検査ができないという欠点があります。
また遺伝子増幅法にはSDA法・TMA法・RT-PCR法・LAMP法がありますが保健が適用できるのはSDA法のみです。


次回は実際に咽頭から菌を検出する手段や菌の検出率についてご紹介します。


2009年03月06日

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