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(3)咽頭淋菌検出率は男女で違う!?
前回、淋菌性咽頭炎の感染経路や検査・診断方法について少しご紹介しましたが、今回はその続きとして、まずは咽頭からの淋菌の検出方法をご説明しましょう。
遺伝子増幅法(SDA法)によって咽頭から淋菌を検出する場合の検体として、
スワブまたはうがい液を用います。
スワブは子宮頸管または尿道スワブ用のキットを用いて、
両側の扁桃陰窩または咽頭後壁をキットの綿棒で擦過して採取します。
一方、うがい液は尿検体用のキットを用いて行います。
うがい液法は0.9%生理食塩水(10~20mL)を口に含み、
顔を上に向けて10~20秒間「ガラガラうがい」をさせ、
滅菌チューブに吐き出させた液を検体とします。
うがい液はスワブよりも被検者負担が少なく、採取手技も簡便で、
咽頭全体の粘膜上皮と粘膜付着物を採取することができます。
従って、咽頭検査の検体としては、咽頭スワブより咽頭うがい液のほうが陽性率が高くでます。ですから症状がでないまま口腔咽頭に存在する淋菌の核酸増幅法による検査検体としては、うがい液の方が適しているといえるでしょう。
また、性器淋菌感染者の咽頭淋菌検出率についてご紹介しますと、
当院では、男性、女性を問わず性器淋菌感染者の30%の咽頭から、淋菌の検出がみられました。
また、男性においては性器の淋菌陽性率が咽頭より高かったのに対して、
女性においては咽頭の淋菌陽性率が性器より高くでました。
さらに、性器に淋菌が証明された女性患者の31.6%に、男性では26.9%に
淋菌の咽頭での検出がみられ、有意の差はありませんが、
女性のほうが男性より咽頭の淋菌検出率がやや高くなっています。
その理由は判然とはしませんが、オーラルセックスに際し男女の外性器の形態的相違と
性交様式の相違が考えられます。
フェラチオの場合は、男性性器の形態的特徴から尿道分泌物が女性咽頭に
直接的に到達しやすい状態にあります。
それに比べてクンニリングスの場合は、女性性器からの分泌物は男性咽頭に
直接的に到達しにくい状態にあります。
これが男女の淋菌の検出率の差の一因とも考えられています。
さて、次回はいよいよ治療についてご紹介します。
2009年03月06日