お口だけで淋病になるなんて!?
梅雨入りしたある日、
私の診療所に、26歳のサラリーマンがやってきました。
彼曰く、
「今朝起きたら、オチンチンの先から黄色い膿が出てきたんです。おしっこのし始めが、えらく痛いんですが」
とのこと。
ピンときた私は、すぐに尋ねました。「何処に行ったんですか?」
すると彼は自信たっぷりにこう答えました。
「はい、実は5日前にピンクサロンに行きました。でも、先生、セックスはしていませんよ。性感染症が怖いですからね。だから口だけにしておきました。」
そうなんです。
このようなケースが実に多いのです。
「口だけなら安全・・・!?」
とんでもない誤解です。
口によるサービスだけで、淋病やクラミジアになるのです。
性風俗嬢、殊にピンクサロン、ファッションヘルスなどのオーラルサービス専門店では、
特にクラミジアよりも淋病をうつされやすいという傾向があります。
それはどうしてか?
どうも咽頭は、クラミジアよりも淋菌が住み着くのに環境が良いようです。
実は私たちの咽頭には、いつもノドに住み着いている「常在菌」がたくさんいます。
一説には200種類以上もいるそうです。
そしてその中には、ナイセリア属の細菌が何種類もいます。
淋菌はナイセリア属の一員ですから、生殖器だけでなく咽頭にも住み着くことができるのです。
さらに淋菌は、肛門や眼の結膜にも住み着くことができるんですよ!
一方、クラミジアは、淋菌と比べると咽頭よりも生殖器に多く検出されます。
しかしクラミジアによる咽頭炎も決して少なくはありませんから、油断はできません。
オーラルサービスを行う性風俗嬢の咽頭には、淋菌やクラミジアが、おとなしく潜んでいます。
淋菌やクラミジアが咽頭にいても、なんら症状がでません。
ノドが赤くなったり、腫れたりもしません。ノドの痛みや違和感もありません。
性風俗嬢はノドの症状がありませんから、
自分が病気になっていることを知らないまま、仕事に励んでいます。
そのサービスを受けるのが男たちです。
それだけではありません。
オーラルサービスだけで性器ヘルペスや梅毒にもなります。
まさに「口は災いのもと」ですね。恐いです。
『君子、危うきに近寄らず』ですぞ!
2009年06月29日