口は災いの元!
『先生!咽がいがらっぽいの!クラミジアかどうか、診てくれる?』と言って21歳のヘルス嬢が来院してきました。
さっそく、咽頭(いんとう:「のど」のうち、鼻から食道に続いていく部分)のクラミジア遺伝子検査をしました。結果は陰性で『よかったね。』と言って彼女は診察室を後にしましたが、実は最近、若者のあいだ、セックスの際のオーラルセックスが日常化しています。
某感染症情報センターの報告では、性体験のある一般女性にアンケートをしたところ、性行為の際オーラルセックスを「必ず行なう」と「50%以上の割合で行なう」との回答の合計は全体の77%を占め、「行なわない(経験がない)」は8%に過ぎませんでした。
このようにオーラルセックスが広く普及したために、クラミジアや淋菌が咽頭から検出される人が非常に増える結果になってしまいました。
2004年8月に行われた性風俗嬢と一般女性のクラミジア感染状況の調査では、子宮頸管(しきゅうけいがん:子宮と膣を結んでいる場所)にクラミジア感染が認められた人のうち性風俗嬢が56%、一般女性25%が、咽頭にもクラミジア感染が認められました。
また、男性の場合は、大学生を対象にした調査報告では、性器のクラミジア検査が陽性(感染している) であった人の、12.5%が咽頭のクラミジア検査も陽性との報告があります。
さらに、某泌尿器科医院を訪れた男性尿道炎患者のうち、感染経路が判明した患者のなんと 83%が咽頭からの感染であったとのことでした。
これらの報告は、性行動や風俗産業の多様化などによりオーラルセックスが性行為として定着してきた為、咽頭から、クラミジアや淋菌に感染した症例が増加していることを示しています。
また、オーラルセックスを職業にするということは、クラミジアや淋菌の咽頭感染の非常に高いリスクを負うことであり、同時にこの性風俗嬢たちが男性尿道炎の大きな感染源となっていることも示しています。
さらに、感染者が拡大する原因の1として、クラミジアや淋菌の咽頭感染は、咽頭(のど)の痛みや発熱といった通常の咽頭炎に見られるような自覚症状や咽頭の粘膜が赤くなるなどの症状がほとんどないため、感染に気づかずに家庭内に持ち込んだり、パートナーに感染させていることがあります。
まさに“口は災いの元”と言ってもよく、『咽頭は性感染症の温床』なのです。
オーラルセックスをした場合は咽頭のクラミジアと淋菌検査も受けましょう。
検査は簡単です。咽頭を綿棒でソーットなでるだけです。また最近では咽頭の“ガラガラうがい”で検査ができるようになりました。
最近のクラミジア感染症や淋菌感染症の治療は大変難しくなってきています!
必ず専門医を受診しましょう!あなたの悩みがパートナーの悩みにならないように!
セックスのエチケット!初めから最後まで忘れずにコンドーム!
2007年06月13日