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陰茎持続勃起症(priapism)その2

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前回、痛みを伴った勃起が数時間も続くという『陰茎持続勃起症(priapism)』の症状を訴えた男性の例をご紹介しました。詳しくはバックナンバーをご覧ください。
今回はこの『陰茎持続勃起症(priapism)』について詳しくお話ししましょう。

「持続勃起症」を大きく分けると「動脈流入過剰型」(陰茎の動脈血の流入量が過剰になるタイプ)「静脈流出不良型」(陰茎の静脈が閉塞し血液流出量が減少するタイプ)に分けられます。
まずは「静脈流出不良型」についてお話しましょう。

「静脈流出不良型」は持続勃起症では多くみられ,その原因は白血病などの血液疾患、骨盤の腫瘍、脊髄の損傷、糖尿病、EDの治療として行われている陰茎海綿体内自己注射や、アルコール、麻薬などの常習でも起こることがあります。しかし、原因不明のことが多いのが実状です。

ここで特記すべきは、最近ではED改善剤(バイアグラ、レビトラ、シアリスなど)が最も多い原因となってきているようです。これには紳士諸君、注意が必要です。

「静脈流出不良型」は静脈血の停滞により,陰茎海綿体内は低酸素状態となり,器質的勃起障害になりやすくなります。そのため緊急に治療を開始しなければなりません。
まず交感神経刺激薬により平滑筋を収縮させ、勃起を抑制します。もし薬物療法で効果がなければ直ちに陰茎海綿体のなかを生理食塩水で洗浄したり、血管収縮薬を注射したりします。しかしそれでも改善しなければ、陰茎にたまった血液を取り除く手術や、血管のシャント手術を施行することも必要です。

もし貴方が持続勃起症を疑ったら、早急に手術が可能な泌尿器科のある総合病院を受診する必要があります。1日以上たってしまうと、海綿体が変性して将来勃起障害を来す危険性が高くなりますのでご注意ください。

「持続勃起症」のもうひとつのパターン「動脈流入過剰型」については、次回にお話ししましょう。


2010年05月24日

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