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陰茎持続勃起症(priapism)その3
前回、痛みを伴った勃起が数時間も続くという『陰茎持続勃起症(priapism)』のうち、「静脈流出不良型」についてご説明をしました。詳しくはバックナンバーをご覧ください。
今回は『陰茎持続勃起症』の二つ目、「動脈流入過剰型」についてお話ししましょう。
「動脈流入過剰型」の原因としては、会陰部の鈍的外傷(騎乗型損傷=会陰部の外傷)が多く、動脈血が絶えず流入するため,陰茎海綿体内は低酸素状態になることはありません。従って、器質的勃起障害になることはあまり多くありません。
しかも「動脈流入過剰型」は疼痛が軽度で勃起が不完全であるため,診断・治療が遅れることがしばしばあります。しかし,この状態が長く続けば,組織の線維化をきたし勃起障害を生じる可能性が高くなります。
動脈流入過剰型の治療は、過剰に流入する動脈血流量を減少させることです。血管造影を行い,血管の破裂した箇所を確認し、塞栓術(血管をある物質でふさぐ手術)を行う事が標準的治療になっています。塞栓物質として,自己血餅やゲラチンが使用されています。動脈流入過剰型は器質的勃起障害になることはあまり多くはありませんが,勃起機能が回復しなかった報告もあります。その原因として治療開始の遅れが指摘されていますので、やはり早い治療が肝心です。
いずれにしても持続勃起症は陰茎の組織が破壊され、陰茎海綿体の線維化さらには将来勃起障害が発生する可能性もあるということを、患者さんは理解しておくことが重要です。
2010年05月24日